指名キーワードとは?リスティング広告で必要な理由と、CVを46%増やした入札設計

この記事を書いた人

植田富大

取締役

新卒でマーベリック株式会社に入社後、広告配信プラットフォーム「Cirqua」の立ち上げメンバーとして従事。流通金額は30万円→3億円規模まで拡大し、株式会社駅探へ売却。2020年7月に株式会社SGPへ参画、その後2024年に取締役に就任し、Webマーケティング事業部を管掌。またWebマーケティングスクールでは、2年間で500名超に対して、Web広告の授業を実施。

目次

    指名キーワードとは、社名やブランド名など、自社を特定できる語を含む検索キーワードのことだ。リスティング広告では出稿を続けるのが基本だが、その中身まで同じ単価で入札してよいとは限らない。

    指名キーワードの費用のうち、3割がブランド名だけの検索に使われていた。表示回数では5割を超える。ところが、そこから取れているCVは全体の27%にとどまる。

    指名キーワードは「CPAが安く、削ってはいけないもの」として、ひとまとめに扱われることが多い。実際、指名全体のCPAは一般キーワードよりはるかに低く、アカウントの中でいちばん成績のよい部分に見える。そのため、指名の中身まで分けて見る運用者は多くない。

    しかし中身を検索語句ごとに分けると、同じ指名の中でCPAは最大で約29倍開いていた。ブランド名だけの語は、指名の中では検索数が多く、目的がばらばらな語、つまりビッグワードとして振る舞う。一般キーワードでビッグワードに予算を吸われる問題は広く知られているが、同じことが指名の中でも起きている。

    本記事では、まず指名キーワードの意味と、リスティング広告で指名キーワードに出稿する理由を整理する。そのうえで、ある社会人向けスクールの指名キーワードを12か月半分の検索語句で分解し、ブランド名単体と掛け合わせ語を分けて入札した結果を解説する。指名全体の費用をほぼ変えずに、1日あたりのCVは46%増え、CPAは33%下がった。後半では、同じ分析を自社のアカウントで行う手順と、配分を入れ替えるときの注意点も示す。

    ※本記事の数値は実運用アカウントの実測値である。案件が特定されないよう、検索語句は仮の語に置き換え、金額系の指標はブランド名単体を100とした指数で示す。構成比・増減率は実数。

    指名キーワードとは?一般キーワードとの違い

    指名キーワードとは、社名・ブランド名・サービス名・商品名など、自社を特定できる語を含む検索キーワードのことだ。「ブランドキーワード」「社名キーワード」とも呼ばれる。ユーザーがすでに自社を知ったうえで検索しているため、一般キーワードよりCVRが高い。今回のアカウントでも、指名全体のCVRは一般キーワードの3.6倍あった。

    対になるのが一般キーワード(非指名キーワード)で、「社会人 スクール」「資格 講座 おすすめ」のように、特定の会社を指さない語を指す。両者の違いを整理すると次のようになる。

    項目指名キーワード一般キーワード
    例(社会人向けスクールの場合)ブランド名/ブランド名+無料体験/ブランド名+料金社会人 スクール/資格 講座 おすすめ
    検索する人の状態自社をすでに知っている自社をまだ知らない人が多い
    CVR高い(今回のアカウントでは一般キーワードの3.6倍)指名より低い
    件数の上限を決めるものブランド名が検索される回数市場の検索数と入札
    広告で担う役割自社を探している人を取りこぼさないまだ自社を知らない人に見つけてもらう

    指名キーワードは件数の上限が検索数で決まり、予算を足しても件数は増えにくい。この性質は後半の「指名の件数は、予算を足しても増えない」で実測とあわせて説明する。

    リスティング広告で指名キーワードに出稿する理由

    自然検索で公式サイトが1位に表示されていても、指名キーワードへの出稿は続けたほうがよい。理由は主に次の3つである。

    • 競合の広告に、検索結果のいちばん上を取られないため:自社名に競合が広告を出していると、自社の自然検索の結果より上に競合の広告が並ぶ。自社の広告を出しておけば、その位置を自社で押さえられ、広告と自然検索の両方で検索結果の上部を自社のページが占められる
    • 見せたいページへ直接案内するため:自然検索では公式サイトのトップページが表示されることが多い。広告なら、無料体験や申込のページなど遷移先を自分で決められ、広告文やサイトリンクでキャンペーンの情報も伝えられる
    • 名前の似たサービスと取り違えられないため:同じ名前や似た名前の会社・商品がある場合、広告で公式であることを示せる

    一方でデメリットもある。広告を出さなくても自然検索から来ていたはずの人にも、クリックのたびに費用がかかることだ。この重なりは、後で見るようにブランド名だけの検索で大きくなりやすい。

    つまり、指名キーワードで考えるべきなのは「出稿するかしないか」ではない。【指名の中のどの語に、いくら使うか】である。ここから先は、その配分を実測で見ていく。

    指名キーワードの中身は、目的の違う検索の集まり

    同じ指名キーワードでも、検索した人の目的は1つではない。

    • ブランド名だけで検索する人:申込を考えている人のほかに、すでに受講している人、修了生、法人研修の担当者、採用ページを探す人、ニュースを見て名前を調べた人が混ざる
    • ブランド名+業態名やコース名で検索する人:どのスクールの、どの講座を検討しているかがはっきりしている
    • ブランド名+無料体験・説明会で検索する人:申込の一歩手前まで来ている
    • ブランド名+料金・学費で検索する人:受講を検討してはいるが、他校と比べている段階にいる

    ブランド名だけの検索には、もう1つ特徴がある。検索結果では、広告のすぐ下に公式サイトの自然検索の結果が並ぶ。社名を確かめたいだけの人や、既存の受講生がログインページを探している場合は、広告ではなく自然検索の結果をクリックすることも多い。広告が表示されてもクリックされにくく、クリックされても申込にはつながりにくい。

    指名を1つのキャンペーンにまとめて同じ入札で運用すると、目的の違うこれらの検索に、同じ単価で予算が配られる。指名全体のCPAが低いので問題は表に出にくいが、中身を分けると、申込に近い検索に回すべき予算が、目的のばらばらな検索に使われていることがわかる。

    自社のアカウントで確かめるには、Google広告の検索語句レポートを12か月程度の期間で出力し、ブランド名を含む語句だけを抜き出す。英字表記やカタカナ表記、よくある打ち間違いも忘れずに含める。抜き出した語句を、ブランド名と一緒に何が検索されているかで分けると、次の節と同じ表が作れる。

    分け方は、次の順に当てはめていくと迷いにくい。

    • まず、ブランド名以外の語が何も付いていない語句を「ブランド名のみ」にまとめる。英字表記や打ち間違いもここに入れる
    • 次に、申込の行動を表す語(無料体験・説明会・申込・資料請求など)が付いた語句を1つの群にする
    • 料金を表す語(料金・費用・学費・値段など)が付いた語句を1つの群にする
    • 地域名や校舎名が付いた語句を1つの群にする
    • 残りを、業態名、コース名・講座名、その他に分ける

    1つの語句に複数の語が付いている場合は、上の順で先に当てはまった群に入れる。たとえば「ブランド名+料金+説明会」は申込の行動の群に入れる。申込に近い語が1つでも入っていれば、その検索は申込に近いと見なすためだ。語句が数百ある場合でも、この順番でスプレッドシートの関数を組めば、手作業はほとんど要らない。

    採用・求人・ログイン・株価のように、申込と関係のない語が付いた語句は、どの群にも入れず除外キーワードの候補として別に控えておく。除外キーワードは登録した表記にしか効かないため、カタカナ表記や打ち間違いも合わせて登録する。どの語を除外するかの判断は「除外キーワードとは?」で解説した。

    12か月半の検索語句で比べると、CPAは最大約29倍開く

    2025年8月から2026年8月中旬までの指名の検索語句218語を、掛け合わせた語の意味で7つの群に分けた。

    語群表示回数の構成比費用の構成比CVの構成比CTRCVRCPCCPA
    ブランド名のみ53.2%29.9%26.8%100100100100
    ブランド名+業態名22.5%30.6%36.1%22114411076
    ブランド名+コース名・講座名11.9%19.2%18.9%17118416791
    ブランド名+無料体験・説明会0.5%0.6%6.9%321785638
    ブランド名+地域名3.4%4.4%3.0%128139182131
    ブランド名+料金・学費2.9%5.4%2.1%19276173228
    その他の掛け合わせ5.6%9.9%6.2%211104148142

    表1 指名キーワードの語群別実績(12か月半)

    ※CTR・CVR・CPC・CPAは「ブランド名のみ」を100とした指数。ブランド名の英字表記・打ち間違いを含む。

    表の読み方を補足する。左の3列(表示回数・費用・CVの構成比)は、指名全体を100%としたときに、その群がどれだけの割合を占めるかを表す。右の4列(CTR・CVR・CPC・CPA)は、ブランド名のみを100としたときの相対値である。CPAが100より小さい群は、ブランド名のみより安くCVが取れている。

    ブランド名のみの群は、表示回数の半分以上を占める。一方でCTRは全群で最も低い。前の節で述べたとおり、広告が出ても、自然検索の公式サイトや、申込とは別の目的のページへ流れる人がいる可能性がある。CVRも業態名やコース名との掛け合わせより低く、1件あたりのコストは高くなる。

    図1 ブランド名のみは表示の53%を占めるが、CVは27%

    掛け合わせ語の側を見ると、業態名との掛け合わせは表示回数の22.5%で、CVの36.1%を取っている。表示の割合よりCVの割合が大きい、つまり効率よくCVが取れている群である。コース名・講座名との掛け合わせはCPCが高い(167)が、CVRがそれ以上に高い(184)ため、CPAはブランド名のみより低い(91)。CPCの高さだけを見て入札を下げると、この群のCVを取りこぼす。

    注意したいのは、指名全体のCPAを見ているかぎり、こうした差は見えないことだ。平均は、語群ごとの費用とCVの差を1つの数字に丸めてしまう。平均だけで判断すると、どの群に予算を寄せるべきかがわからない。

    絞り込んだ語が、すべて良いわけではない

    表で目を引くのは、掛け合わせ語の中でも差が大きいことだ。

    最も良いのは「無料体験・説明会」との掛け合わせで、CVRはブランド名のみの約8倍、CPAは12分の1に収まる。申込の一歩手前まで来ている人が、申込ページを探して検索していると考えられる。ただし、この群は表示回数の0.5%しかない。現状の表示回数が少ないので、入札を上げて件数を増やせる余地は、表示回数のシェアを見て判断する。この群は取りこぼさないことが大事で、表示回数のシェアを落とさない入札を置いておく。

    逆に「料金・学費」との掛け合わせは、ブランド名のみより悪い。CVRは76、CPAは228。語が絞り込まれていても、他校と費用を比べている段階の人は、その場で申し込まない。料金のページを見て、候補の1つとして持ち帰る人が多いと考えられる。この群を掛け合わせ語と同じ扱いで入札を上げると、比較段階の人に高い単価を払い続けることになる。

    地域名との掛け合わせも、CPAは131とブランド名のみより高い。CPCも182と高い。通学できる校舎を探している人が、複数のスクールを見比べている段階にいる可能性がある。

    つまり、指名を分けるときの軸は「語が長いか短いか」ではない。【検索した人が申込にどれだけ近いか】である。

    • 申込に近い語:無料体験・説明会、業態名、コース名・講座名
    • 目的がばらばらな語:ブランド名のみ
    • 比較の途中にいる語:料金・学費、地域名
    図2 同じ指名でも、語群によってCPAは最大約29倍開く

    この3つに分けておくと、入札の置き方も決めやすい。申込に近い語は、表示回数のシェアを取り切る入札にする。ブランド名のみは、止めずに入札を抑える。比較の途中にいる語は、単価の上限を置いて、高い単価を払い続けないようにする。

    分け方と入札の手順

    今回のアカウントでは、指名をもともと「ブランド名のみ」と「掛け合わせ」の2つのキャンペーンに分けていた。ただ、キャンペーンは分かれていても、指名の費用の4割がブランド名のみのキャンペーンに置かれたままだった。そこで8月11日に配分を入れ替えた。行ったのは次の3つである。

    【手順1】ブランド名のみのキャンペーンの日予算を約半分に落とす。

    【手順2】同じキャンペーンの入札を下げる。

    【手順3】浮いた予算を掛け合わせ側のキャンペーンへ回す。指名全体の日予算の合計は変えない。

    配分を入れ替えるときは、総額を変えないほうがよい。総額を同時に動かすと、成果が変わったときに、配分の入れ替えが効いたのか、総額の増減が効いたのかを切り分けられない。まず配分だけを動かし、結果を見てから総額を判断する。

    これから分ける場合は、ブランド名のみを完全一致で1つのキャンペーンに入れ、掛け合わせ側のキャンペーンにはブランド名のみを完全一致の除外キーワードとして登録しておく。こうしないと、ブランド名だけの検索が掛け合わせ側にも流れ込み、分けた意味が薄れる。マッチタイプの選び方は「Google広告のインテントマッチとは?」で解説した。

    キャンペーンを分けるのは、予算をキャンペーン単位でしか置けないからだ。1つのキャンペーンに入れたままでは、どの語にいくら使うかを運用者が決められない。この仕組みは「リスティング広告のキャンペーン分け方」で詳しく解説した。

    ブランド名のみを止めないのは、この群でも指名のCVの4分の1以上を取っているからだ。止めれば、その検索結果の上位を競合の広告に明け渡すことにもなる。削るのは予算と入札であって、出稿そのものではない。

    ブランド名のみの広告は、入札を下げるだけでなく、広告文とアセットも見直す余地がある。この群には、申込を考えている人のほかに、受講生や修了生、法人研修の担当者、採用ページを探す人が混ざっている。サイトリンクに「無料体験」「コース一覧」「法人研修」などの行き先を並べておけば、目的の違う人をそれぞれのページへ振り分けられる。広告文には、公式サイトであることと、無料体験のような申込に近い行動を入れておく。

    入れ替えた後は、次の2つを日次で見る。1つはブランド名のみのCVが大きく落ちていないか。もう1つは、掛け合わせ側に回した予算が消化され、CVが増えているか。掛け合わせ側は検索数に限りがあるため、予算を足しても使い切れないことがある。その場合は、使い切れなかった分を指名の外へ回すか、総額を戻す。

    入札を下げる幅は、一度に大きく動かさない。ブランド名のみの群は検索数が多いため、入札を急に下げると、表示回数とクリックが一気に減り、CVも想定以上に落ちることがある。今回のアカウントでは日予算を約半分にしたうえで入札を下げたが、CVの減少は2割で収まった。自社で行う場合も、最初は日予算の3〜5割程度を目安に動かし、1〜2週間のCVの動きを見てから次の調整を決めるとよい。自動入札を使っている場合は、目標値を変えた直後は配信が安定しにくいため、変更の前後で比べる期間を少し長めに取る。

    実施結果:費用はそのままで、1日あたりのCVは46%増えた

    配分を入れ替える前の10日間(8月1日〜10日)と、入れ替えた後の21日間(8月11日〜31日)を比べる。

    項目変更前(10日間)変更後(21日間)変化
    指名全体の1日あたり費用10098−2%
    ブランド名のみの費用シェア42.2%22.0%−20.2pt
    ブランド名のみのCPC10055−45%
    ブランド名のみの1日あたりCV10079−21%
    掛け合わせの1日あたりCV100186+86%
    指名全体の1日あたりCV100146+46%
    指名全体のCPA10067−33%

    表2 配分の入れ替え前後の比較

    ※金額とCV数は変更前を100とした指数。CVは無料体験の申込で数える。

    ブランド名のみは、入札を下げたことでCPCがほぼ半分になった。それでも1日あたりのCVの減少は2割にとどまる。浮いた予算を回した掛け合わせ側では、1日あたりのCVが1.9倍になった。差し引きで、指名全体のCVは同じ費用のまま46%増えた。

    図3 費用の置き場所を変えただけで、指名全体のCVが増えた

    この結果を、動かした予算の単位で見直すと、何が起きたかがはっきりする。ブランド名のみから削った予算は、ブランド名のみの1日あたり費用の約半分にあたる。前後の費用の差をCVの差で割ると、削った予算は1件あたり、変更前の指名全体の平均CPAの約2.7倍かかっていた計算になる。一方、掛け合わせ側に足した予算は、1件あたり平均CPAの約0.34倍に相当する。どちらも前後の差から出した値で、配分以外の要因も含む。

    平均CPAで見ると、ブランド名のみの群は「指名の中では少し高い」程度にしか見えない。しかし、上乗せで使っていた予算に限ると、平均の約2.7倍の単価でCVを取っていたことになる。増やした分・減らした分の予算で1件あたりいくらかかったかを見る考え方は、「増分CPAとは?」で詳しく解説した。

    ただし、読み方には注意が要る。変更前の10日間のCVは16件、変更後の21日間は49件と、件数はまだ少ない。掛け合わせ側のCVRも1.6倍に上がっており、この上昇には季節の動きなど配分以外の要因も混ざりうる。増減率は幅を持って読み、翌月以降も同じ傾向が続くかを確かめるのがよい。このアカウントでは9月に入ってもCPAの低い状態が続いている。

    指名の件数は、予算を足しても増えない

    指名キーワードでもう1つ押さえておきたいのは、件数の上限を決めるのが予算ではなく、ブランド名の検索数だということだ。

    今回のアカウントでは、過去19か月の指名の月額費用に3.6倍の幅があった。それでも月のCV数は62件から106件の範囲に収まり、費用の増減とはほぼ連動していない。検索する人の数が決まっている以上、予算を足しても、同じ人に高い単価で広告を出すだけになる。

    だから指名キーワードで打てる手は、総額を増やすことではない。【同じ総額の中で、申込に近い語へ予算を寄せる】ことだ。本記事で扱った配分の入れ替えは、この範囲の改善である。同じ検索数の中から、より多くのCVを取り出す手であって、取れる件数の上限そのものは動かない。

    上限を上げるには、ブランド名や業態名で検索する人そのものを増やす必要がある。それは指名キーワードの入札ではなく、一般キーワードやSNS広告、動画広告などで、まだ自社を知らない人に名前を覚えてもらう施策の役割になる。指名キーワードの件数が頭打ちになったときは、指名の予算を足すのではなく、指名の外で検索数を増やす手を検討する。

    ただし、指名の件数が伸びない原因が、検索数ではなく競合にある場合もある。自社のブランド名に競合が広告を出していると、検索結果のいちばん上を競合に取られ、自社の広告がその下に表示される。この状態では、検索数が変わらなくても自社のクリックとCVは減る。

    確かめるには、指名キャンペーンのインプレッションシェアだけでなく、検索結果の最上部に表示された割合(最上部インプレッションシェア)を見る。インプレッションシェアが高くても、最上部の割合が低ければ、上を誰かに取られている。オークション分析で相手を特定し、関連会社や販売代理店であれば出稿の条件を話し合う。競合であれば、最上部の割合を保てる入札を置く。この場合に限っては、指名に予算を足す意味がある。

    ブランド名のみの群は、指名の中で最も検索数が多く、最も目的がばらばらな語群である。ここに費用の3〜4割を置いたままにしていないか、一度検索語句レポートで確かめてほしい。

    SGPの広告運用支援

    本記事で紹介した語群の分解と配分の入れ替えは、SGPが支援先の検索広告で実際に行ったものである。SGPは運用型広告に特化した広告代理店で、検索広告・SNS広告の運用支援と、サイトに来た後のコンバージョン率を高めるLPO支援を行っている。

    指名キーワードのCPAは低いのに全体の件数が伸びない、指名の中身を語群に分けて見たことがない、といった場合は、広告運用支援のページと実績事例をご覧いただきたい。

    指名キーワードに関するよくある質問

    自然検索で1位なら、指名キーワードの広告は止めてもよいですか?

    止めることはおすすめしません。自社名に競合が広告を出すと、自然検索の結果より上に競合の広告が表示され、自社サイトが押し下げられるためです。費用を抑えたい場合は、止めるのではなく、ブランド名のみの語の入札と予算を下げ、申込に近い掛け合わせ語へ回します。本記事のアカウントでも、ブランド名のみを止めずに配分を入れ替え、指名全体の1日あたりのCVは46%増えました。

    指名キーワードと一般キーワードは、キャンペーンを分けるべきですか?

    分けるべきです。予算はキャンペーン単位でしか設定できず、CVRが大きく違う語を1つのキャンペーンに入れると、どちらにいくら使うかを運用者が決められません。今回のアカウントでは、指名全体のCVRは一般キーワードの3.6倍でした。さらに指名の中も、ブランド名のみと掛け合わせ語でキャンペーンを分けると、配分を動かせるようになります。

    指名キーワードで除外しておくべき語はありますか?

    採用・求人・ログイン・株価など、申込と関係のない目的で検索される語は、除外キーワードの候補になります。除外キーワードは登録した表記にしか効かないため、カタカナ表記や打ち間違いも合わせて登録します。また、ブランド名のみを別キャンペーンに分ける場合は、掛け合わせ側のキャンペーンにブランド名のみを完全一致で除外しておきます。

    競合が自社名で広告を出しているときは、どうすればよいですか?

    まず、指名キャンペーンの最上部インプレッションシェア(検索結果の最上部に表示された割合)を確認します。オークション分析で相手を特定し、関連会社や販売代理店であれば出稿の条件を話し合います。競合であれば、最上部の割合を保てる入札を置きます。この場合に限っては、指名に予算を足す意味があります。

    指名キーワードの予算を増やせば、CVは増えますか?

    多くの場合、増えません。指名キーワードの件数の上限を決めるのは予算ではなく、ブランド名が検索される回数だからです。今回のアカウントでは、過去19か月の指名の月額費用に3.6倍の幅がありましたが、月のCV数は62件から106件の範囲に収まっていました。件数そのものを増やすには、一般キーワードやSNS広告など、指名の外で名前を知ってもらう施策が必要になります。

    まとめ:指名キーワードは出稿を続けたうえで、中身の配分を見直す

    指名キーワードは、社名やブランド名を含む検索で、自社を知っている人が検索するぶんCVRが高い。競合に検索結果の上を取られないためにも、リスティング広告での出稿は続ける意味がある。ただし、指名の中身は目的の違う検索の集まりで、ブランド名だけの検索は表示回数の半分以上を占めながら、CVの取り分は4分の1ほどにとどまっていた。指名の中にもビッグワードがある。

    指名を分ける軸は語の長さではなく、検索した人が申込にどれだけ近いかである。無料体験や業態名との掛け合わせは安くCVが取れる一方、料金や地域名との掛け合わせはブランド名のみより高くつく。今回のアカウントでは、ブランド名のみを止めずに入札と予算を抑え、浮いた予算を申込に近い掛け合わせ語へ回したことで、指名全体の費用をほぼ変えずに1日あたりのCVが46%増えた。

    また、指名の件数の上限を決めるのは予算ではなく、ブランド名の検索数である。指名キーワードで打てる手は総額の中の配分を動かすことで、件数そのものを増やすのは指名の外の施策の役割になる。自社のアカウントでも、ブランド名のみの群に費用の何割が置かれているかを検索語句レポートで確かめると、配分を見直す余地があるかどうかがわかる。

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