ChatGPTはその卓越した自然言語処理技術により、現代のマーケティング活動において欠かせない存在となっています。とはいえ「具体的にChatGPTがどのようなシーンで活用されているのか」、疑問を抱く方も少なくないでしょう。
今回の記事ではChatGPTを活用したマーケティングの活用事例5つ、ChatGPT導入企業の導入事例3つをご紹介します。また、ChatGPT導入のメリットや導入時のポイントを解説した内容です。
本記事を読むことでChatGPTをマーケティング業務に活用するイメージが明確に掴めるでしょう。またマーケティング業務担当者や企業経営者が、ChatGPTを戦略的に活用するための情報も満載なので、ブランドの認知度向上や顧客エンゲージメントの向上につなげることが可能になります。
競争激化する市場で差別化を図るため、ぜひご一読ください。
そもそもChatGPTとは？
ChatGPTとはアメリカのIT企業「OpenAI」が開発・運営を行っている、自然言語処理の最先端技術を活用した対話型AIモデルのことです。最先端の技術と大規模なデータセットからの学習能力によって、まるで人間が答えているかのような、自然な回答を実現しています。
自然な文章の生成はもちろん、以下のようにさまざまなシーンでの活用が可能です。
プログラムコード生成
英語の翻訳
セミナー文章の自動作成
プレゼン資料のフロー・構成の自動生産
論文の自動生成
このような背景から、あらゆる業界の企業や個人が利便性と生産性の向上を肌で実感しており、順調にユーザー数を増やしています。
ChatGPTの現状の活用状況
ChatGPTの現状の活用状況は、活用企業およびユーザー数を着々と伸ばしているのが現状です。
NRI野村総合研究所が発表したデータによると、ChatGPTは2022年11月のリリースからわずか2ヶ月で世界のユーザー数が1億人に到達するなど、急激な拡大を見せています。さらに国別のトラフィックシェア（アクセス比率）を見ると、1位のアメリカ、2位のインドに続き、日本は3位と上位です。
参考：https://www.nri.com/jp/knowledge/report/lst/2023/cc/0526_1
またChatGPTは「ChatGPT Plugin」という新機能によってWebサービスのAPIを呼び出せるようになったりと、今もなお用途が爆発的に拡大しています。
この傾向が今後留まることは考え難く、ChatGPTの発展とともに、ユーザー数は拡大していくでしょう。
ChatGPTをマーケティングに活用するメリット
ChatGPTをマーケティング業務に活用することで、次のようなメリットが得られます。
文章を書く時間を短縮できる
分析・解析の作業を効率化できる
カスタマーサポート業務の品質向上が図れる
それぞれ見ていきましょう。
文章を書く時間を短縮できる
マーケティング業務においては、セールスやプレゼン資料、メール返信などで文章を書く機会は非常に多いのが現状です。このタスクにかかる時間を圧倒的に短縮できることが、ChatGPT活用の一番のメリットといえるでしょう。
文章作成や執筆には通常手間がかかるものですが、ChatGPTによって費やされる時間が大幅に削減されるため、マーケターはより重要なタスクに専念できるようになります。
またChatGPTは、あらゆる業界やジャンルのトレンドや市場動向を把握していることも強みです。
分析・解析の作業を効率化できる
マーケティング業務においては、競合他社の徹底的な分析や解析が欠かせません。この分析・解析の作業を効率化できる点も、ChatGPTを活用する大きなメリットです。
ChatGPTによって迅速に市場動向やトレンド、ユーザーの嗜好を把握できるため、マーケターは作業効率化やリソース最適化を図れます。
ChatGPTは複雑なデータパターンの理解にも強く、リアルタイムな市場変化にも適応してくれます。そのため、競争激化するマーケットにおいて優位性を維持できるでしょう。
カスタマーサポート業務の品質向上が図れる
問い合わせ業務をはじめとするカスタマーサポートの品質向上も、ChatGPT活用のメリットとして挙げられます。
ChatGPTは毎日世界中のあらゆる質問に答えているため、ユーザーニーズや趣味嗜好を深く理解しています。自社製品やサービスについての質問・回答を学習させ「よくある質問」という形式にして公開することで、ユーザーは問い合わせる手間が省けるでしょう。
また、現代ではさまざまな企業がChatGPTを搭載した自動応答システム「チャットボット」を導入しています。これによって、24時間365日サポート対応が可能になるため、ユーザー満足度の向上にもつながるでしょう。
ChatGPTのマーケティング活用事例5選
ChatGPTをマーケティングに活用している具体的な事例として、次の5つがあります。
市場やカスタマー分析の品質向上
各種テキスト作成作業の自動化
テキスト要約による読解作業の効率化
カスタマーサポート業務の自動化
SEOに基づく広告運用作業の効率化
それぞれ、順を追ってご紹介します。
市場やカスタマー分析の品質向上
ChatGPTは、市場およびカスタマーニーズの分析の質を向上させることが可能です。
変化の激しい現代において、市場動向やトレンドは日に日に変わるものです。それに伴って、ユーザーが求めるニーズや趣味嗜好も、コロコロと変わっていく傾向にあります。
マーケターはその変化を把握しつつ柔軟な対策を施すことが重要です。とはいえ、やはり限られた時間の中で、通常の用務をこなしながらでは難しいことも事実です。
そんな中ChatGPTは、市場動向やトレンド、ユーザーニーズを聞くだけで、高品質かつ的確な情報を返してくれます。これによってマーケターの分析の時間が省けるうえ、分析力の向上に役立てている企業はたくさん存在します。
また、チャットボットなどの自動応答システムの導入によって「ユーザーが気になっていること・興味のあること」などの情報を自動で蓄積してくれるため、さらなる分析の質の向上が見込めます。
各種テキスト作成作業の自動化
あらゆるテキスト作成作業の自動化は、ChatGPTの数ある活用事例の中でもとくに代表的な例といえます。あらゆるテキストとはじつに多岐にわたり、具体的には以下のようなものです。
サービス紹介文章やキャッチコピー
セミナー構成の文章
セールス内容の文章
ブログ・SNS投稿用の文章
メールの文章
このように、マーケターは膨大な文章執筆作業に時間を投下しています。こういった作業を自動化し迅速に完了させることで、マーケターはより重要なタスクに集中できるため、企業全体の生産性向上に大きく貢献しています。
テキスト要約による読解作業の効率化
「テキストの要約」によって読解作業を効率化できる点も、代表的なChatGPTのマーケティング活用事例として挙げられます。ChatGPTは文章を作成するだけでなく、大量のテキストを要約し、読解作業を効率化するツールとしても広く活用されているためです。
公的な文章をはじめ、難解な日本語の文章を噛み砕いて読解していくのは大変で、膨大な時間を要するものです。また現在はマーケターに限らず、難しい文章を読解することにストレスを感じてしまう方は少なくありません。
ChatGPTが難解な長文を要約することで、情報の把握や分析が迅速に行え、大幅な作業効率化を実現しています。
カスタマーサポート業務の自動化
ChatGPTは、カスタマーサポート業務を自動化する用途においても、幅広く活用されています。具体的には、以下のような事例があります。
ユーザーからよく寄せられる質問の分析
よく寄せられる質問に対する回答の自動生成
24時間365日応答可能なチャットボットの開発
従来、人の手で行っていたカスタマーサポートを自動化できることは、マーケターの作業効率と生産性の向上に大きく貢献するでしょう。
加えて、24時間365日応答に対応してくれることから、ユーザー満足度も高まって一石二鳥です。
SEOに基づく広告運用作業の効率化
ChatGPTは「SEOに焦点を当てた広告運用作業」を効率化する新たな手段としても活用が進んでいます。具体的な活用例としては、以下のようなものです。
キーワード選定
パターン別の最適な文章の生成
ChatGPTは、カスタマーニーズをもとに最適なSEOキーワードを選定することもできます。また、訴求力に長けたキャッチコピーやLPテキストなど、あらゆるパターンごとに文章を生成することも可能です。
これによって比較検討やテストが容易に行えるようになり、ユーザーへの訴求力および検索順位をアップさせることに役立てられています。
AIを導入した企業の成功事例3つ
この章では「実際にAIを導入した企業がどのように成功しているか」を、以下の3つの企業に絞ってご紹介します。
ピーシーアシスト
パナソニック
DMM FX
ピーシーアシスト
ピーシーアシスト株式会社は、AIプラットフォーム「Genesys Cloud CX」の導入によって、カスタマーサポート対応業務にかかる時間を短縮することに成功しています。
「Genesys Cloud CX」は主にコールセンターで用いられるツールで、以下のような機能を備えているのが特徴です。
チャットやSNS、SMSを用いた予約対応
オペレーターの電話応対時間が均等になるよう振り分け
予約をチャットやSMSで対応できるようになったことで、これまで3分ほどかかっていた予約作業を約1分で済ませることを実現しています。
また、これまでピーシーアシスト株式会社のオペレーターは、電話応対を時間ごとの交代制で行っていました。そのため、タイミングによって多忙で電話が取れなかったり、時間や曜日で問い合わせ件数が異なることから、オペレーターの負荷にもばらつきが生じていたといいます。
「Genesys Cloud CX」の電話応対時間の均等振り分け機能によって、手すきのオペレーターに自動で振り分けを行うようになったため、問題解決を実現しています。
パナソニック
BtoB向けのサービスやソリューション事業を展開しているパナソニックコネクト株式会社では、以下のような用途で「ChatGPT」を導入し、業務の自動化を図っています。
提案書など各種資料の作成
データ分析および解析
プレスリリース原稿の考案
ミーティングのタイムテーブルの作成
とくにデータ分析のフェーズでは、これまで人が9時間かけて行っていた作業を6分ほどで完了できるなど、飛躍的な効率化を実現しています。
また、パナソニックコネクト株式会社はほかにも「ConnectAI」というAIアシスタントツールを開発し、国内の全社員に配布しました。
「ConnectAI」はプログラミング作業や難解な用語の言い換え、アイデア出しなどを自動化できるツールで、以下のような成果を上げています。
事前調査に費やす約3時間ほど短縮
社内アンケート解析の作業時間が約9時間ほど短縮
パナソニックコネクト株式会社は、今後カスタマーサポート業務にも、これらのようなAIツールを新たに導入することを検討しています。
DMM FX
DMM FXは2021年6月、KARAKURI（カラクリ）が提供する「KARAKURI chatbot」を導入しました。「KARAKURI chatbot」は、24時間365日チャットでの自動応対を行ってくれるAIチャットボットのことです。
このAIツールの導入により、従業員のサポート対応にかかる時間が最小化できたことに加え、ユーザーとしても24時間365日気軽に問い合わせを行うことが可能になったため、双方にとっての大きなメリットを実現しています。
また「KARAKURI chatbot」は導入・運用に複雑なプログラミングが一切不要であること、そして特許取得のユーザビリティに優れた管理画面が最大の特徴です。導入までのコストをほとんどかけず、上記のようなメリットを得られているため、大きな費用対効果を実現した成功例といえます。
さらに「KARAKURI chatbot」は、AIツールとしてユーザーからの質問を自ら学習していくことから、回答の精度を日に日に向上させていく点も魅力です。
ChatGPTを事業に導入する際のポイント
ChatGPTを事業に導入する際、以下のポイントを抑えておく必要があります。
プロンプトの精度アップに注力する
機密情報の取扱は慎重に行う
人間による最終確認を怠らない
それぞれ見ていきましょう。
プロンプトの精度アップに注力する
ChatGPTを事業で導入し、その能力を最大限に引き出すには、ChatGPTに対する命令文（プロンプト）の精度を上げることが必須となります。
たとえば「セミナー文章を書いて」と命令するよりも「セミナー文章を書いて。対象ユーザーは20代。顕在層ではなく潜在層向けで、かつ文字数は1,000文字以内で。」といったように、命令を具体的にするほうが回答の精度が上がることは明白です。
このように、より精度の高い回答を得るため、命令文の具体性を強調させる取り組みを「プロンプトエンジニアリング」といいます。
それだけ優れたAIツールでも、プロンプトの具体性に欠けると、その効果は半減してしまうといっても過言ではありません。
機密情報の取扱は慎重に行う
ChatGPTを事業に導入する際は、企業の機密情報の取り扱いには十分に気を遣う必要があります。ChatGPTは、世界中のユーザーが入力した質問、かつそれに対する回答は、すべてデータとして蓄積しているためです。
たとえば企業の機密情報を含む質問をChatGPTに投げると、それが学習データとして吸収されます。そして、そのデータが他の第三者に対する回答として使われる可能性はゼロとはいえません。
対策として、ChatGPTへの入力情報を学習データとして吸収させないために「オプトアウト申請」を行うことは可能です。しかし、その申請が通ったか否かの確認ができないことから、その対策はとても絶対的ではありません。
以上のことから、よほどのことがない限り、企業の機密情報は入力しないよう注意しましょう。
人間による最終確認を怠らない
ChatGPTを事業に導入するなら、人の手による最終確認を怠らないことも重要なポイントになります。ChatGPTの精度は着実に日々向上しているものの、ニッチな分野や地域的な話題に対しては、まだまだ正確性に欠けるからです。
ChatGPTはわからない質問に対し「わからない」と言ったり、回答拒否することは滅多にありません。わからない質問に対しては、でたらめかつ事実とは異なる回答を返すため、とくに注意が必要になります。
いまや業務効率化になくてはならないChatGPTですが、その能力を過信しすぎず、必ず人の手で確認を行うことが重要です。
ChatGPTの今後の可能性
ChatGPTは今後、なお進化と発展を遂げていくことは間違いありません。
2023年12月現在でもっとも新しいバージョン「GPT-4」では、文章のみならず画像の解析や生成が可能になっています。さらに公式プラグインやAPIも続々リリースされており、使い勝手も飛躍的に向上しているのが現状です。
次のバージョン「GPT-5」では、以下のようなことが実現されると予想されています。
動画コンテンツの解析や生成
人型ロボットの原動力としての利用
感情をもった受け答えや振る舞い
単なる情報提供ではなく「より協力的なパートナー」としての役割を果たす可能性が見込まれ、いま以上に広い職種で活用されていくでしょう。
まとめ
現代のマーケティング業務で成功するには、ChatGPTをはじめとするAI技術の活用は欠かせない要素になります。
今後さらなる進化と発展が期待されるChatGPTですが、利用する側が注意点やポイントを深く理解することで、はじめて大きな効果を発揮してくれるものです。
ChatGPTの能力を最大限に引き出すためには、プロンプトエンジニアリングを徹底すること、そしてChatGPTを過信せず人間による最終確認まで徹底することが重要になります。
マーケティング業務をより生産的にするために、成功事例を参考に、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
1992年生まれ｜2020年10月フリーランスとして独立｜Web制作、SEOライティングを軸に活動中｜接客→生産管理→システム開発会社→現在｜モリブログ運営。Web制作、フリーランスジャンルを中心に更新中。PV数は年間14万人以上｜｜温泉、旅行、甘いものが好き。
