検索クエリの除外判断を「属人技」から脱却する単語分析&巻き添え検証フロー

「CVが出ていないから」という理由だけで検索クエリを除外した結果、気付かないうちにCVに繋がる有効な検索クエリまで巻き添えで停止させていた──そんな経験はありませんか?

本稿では、多くのアカウントで見えない機会損失を生み出している「属人的な除外判断」に焦点を当て、巻き添え停止が起きるメカニズムから、「単語単位の分析」を用いた現場で即実行できる再現性のある実務フローまでを具体的に解説します。無駄を削る作業にとらわれる前に、まず「正しい除外の土台(判断基準)」を整えることがアカウントの成果を守る第一歩です。

この記事を書いた人

植田富大

取締役

新卒でマーベリック株式会社に入社後、広告配信プラットフォーム「Cirqua」の立ち上げメンバーとして従事。流通金額は30万円→3億円規模まで拡大し、株式会社駅探へ売却。2020年7月に株式会社SGPへ参画、その後2024年に取締役に就任し、Webマーケティング事業部を管掌。またWebマーケティングスクールでは、2年間で500名超に対して、Web広告の授業を実施。

目次

    広告運用を担当している方であれば、多くの方が行ったことのある検索クエリの除外設定ですが、「CVが出ていないから除外する」という判断は本当に正しいと言い切れるのでしょうか?

    先日、あるアカウントで除外リストを精査したところ、CVが出ていないクエリと除外した結果、CVにつながっていた検索クエリまで巻き添えで停止しており慌てて修正をしました。除外していた期間で推定14件のCVが発生していたと考えられ、月間で40万円規模の機会損失が発生していました。

    本記事では、上記の件をベースに多くのアカウントが気付かないうちに陥っている可能性のある機会損失が発生してしまう理由と、この属人化しやすい除外判断を構造化し、再現性のある実務フローとして扱う方法を解説します。

    ▪️その除外判断、本当に正しいと言い切れますか?

    検索クエリの除外は基本的な運用ですが、その判断基準が明確に定義されているケースは多くありません。実際には、CVの有無や直近の数値といった「見えている結果」をもとに、都度判断されていることがほとんどです。

    問題は、この判断が構造化されていない点にあります。担当者ごとに基準が変わり、「なぜ除外したのか」を説明できないままリストだけが蓄積されていく。その結果、本来拾うべきクエリまで静かに削られてしまいます。

    さらに除外は、「何を止めるか」ではなく「何が巻き添えで止まるか」が見えにくい操作です。この構造を理解しないまま運用を続ける限り、意図せず機会損失を生み出し続けてしまいます。

    ▪️除外クエリの設定で成果を落とすのはなぜか

    ⚪︎小見出し1:「CVゼロだから除外」という思考停止

    多くの現場で行われているのが、検索クエリをCVの有無で並べ、CV=0のものを除外していく判断です。一見合理的に見えますが、この基準だけでは正しい判断とは言えません。

    例えば、表示回数が少ないクエリであればCVが出ていないのは当然です。また、現時点ではCVに至っていなくても、サイト内の回遊や後日のコンバージョンに繋がる可能性を持つクエリも存在します。こうした要素を考慮せずに「CVゼロ=不要」と判断してしまうと、有望なクエリを切り捨てることになります。

    ⚪︎小見出し2:巻き添えで有効クエリを止めてしまう構造

    もう一つの原因が、除外キーワードのマッチタイプによる巻き添えです。例えば特定の単語を除外した場合、その単語を含むすべての検索クエリが対象となるため、CVに繋がっていたクエリまで同時に停止してしまうことがあります。

    除外は「不要なクエリを止める」操作に見えますが、実際には複数のクエリに影響を与える操作です。この影響範囲を把握しないまま設定を行うと、意図せず成果に貢献していたクエリまで削ってしまい、結果としてパフォーマンスを下げる要因になります。

    ▪️除外候補は「クエリ単位」ではなく「単語単位」で見る

    「クエリ単位」と「単語単位」の違いは、判断の粒度にあります。

    検索クエリをそのまま1行ずつ見て判断するのが「クエリ単位」の考え方です。例えば「AGA 治療 安い」「AGA 費用 安い 東京」といったクエリを、それぞれ個別に評価していきます。この方法では、一つひとつのクエリの良し悪しは判断できますが、「なぜその傾向が起きているのか」という共通点までは捉えきれません。

    一方で「単語単位」で見るとは、クエリを構成する要素に分解し、特定の単語を含むクエリ群としてまとめて評価する考え方です。先ほどの例であれば、「安い」という単語を軸に、それを含むすべてのクエリを横断的に集計し、CV・CVR・CPAを評価します。

    単語単位で評価をする二つ目のメリットは、月間1万行のクエリレポートでも、単語単位に分解すれば判断対象は数百個に圧縮されます。運用者が見るべき対象のデータが数千行から数百個へ1桁分減ります。

    ▪️具体的な除外候補の判断方法と除外基準

    単語単位での評価が重要ということはご理解いただけたところで、ここから具体的な除外候補の判断基準について説明いたします。

    データを単語単位に分解した後、その単語を含むクエリ群を3つの軸で評価をします。単一の指標だけで判断すると、「たまたまCVが出ていないだけ」のクエリを誤って除外してしまうためです。

    除外候補を洗い出す手順は以下の通りです。

    1. Google Ads/Yahoo Adsから検索クエリレポートをCSVでダウンロードする
    2. 各クエリを単語単位に分解する(MeCab等の形態素解析が可能なツールを使用)
    3. 分解した単語ごとに、以下の3軸で集計・判定する
    • CV=0:その単語を含むクエリ群のCV合計が0
      • 意味:その単語を含むクエリ群がCVに一切貢献していない
    • CVR劣後:アカウント平均CVRの50%未満
      • 意味:流入はあるがCVに結びつきにくい語
    • CPA超過:目標CPAの2倍以上
      • 意味:コストに見合わない語

    この3軸すべてに該当する単語が除外の最有力候補となります。1軸だけの場合は「要注意」にとどめ、即除外にはしません。このように構造化することで、感覚ではなくロジック的に除外候補を抽出することが可能になります。

    人が除外候補を探すのではなく、構造的に除外候補を抽出する。この構造化が、除外判断の再現性と精度を大きく引き上げます。

    ▪️【注意点】除外設定前に「何が消えるか」を必ず検証する

    ⚪︎小見出し1:なぜこの検証プロセスが重要なのか

    除外候補の抽出ができたら、除外する前に必ず「何が消えるか」を全件確認しましょう。このひと手間が、アカウント全体のパフォーマンスを守ります。

    この検証プロセスを飛ばして「あとで確認しよう」と思っても、消えたクエリはレポートに出てこないため「実はCVが出ていたクエリを消していた」と気づくのが非常に難しくなります。気づいたときには数週間〜数か月分の機会損失が発生してしまうため、この検証プロセスは非常に重要となります。

    ⚪︎小見出し2:具体的な検証手順

    なぜ検証プロセスが重要であるかご理解いただけたところで、検証の手順を説明いたします。

    1. 除外候補の単語(たとえば「安い」)を含む全クエリを抽出する

    2. その中にCVが出ているクエリが含まれていないか確認する

    3. CVクエリが含まれている場合、除外マッチタイプを変更するか、除外自体を見送る

    具体例を交えて詳細を説明いたします。「安い」という単語が除外候補に上がった場合、「安い」を含むクエリ一覧を見ると下記の状態ということがわかりました。

    • 「AGA 治療 安い」→ CV=0、CPA超過 → 除外OK
    • 「AGA 費用 安い クリニック名」→ CV=3、CPA目標内 → 除外NG

    この場合、「安い」をそのまま除外すると、CVが出ている2番目のクエリも巻き添えで消えます。正しい対処法は、「安い」単体での除外を見送り、「AGA 治療 安い」をフレーズ一致で個別除外するか、あるいは除外せず入札調整で対応するか、といった判断になります。

    ▪️除外は「削る作業」ではなく「残すものを選ぶ判断」

    除外キーワードの運用は「無駄を削る作業」と捉えられがちですが、本質は「何を残すか」を選ぶ判断にあります。CVが出ていないという理由だけで除外を繰り返すと、効果のあるクエリまで知らず知らずのうちに配信されなくなっていき、どんどんアカウントの可能性を狭めてしまいます。

    これまで説明してきた通り、除外設定を構造化することで担当者の負担を減らし、属人化リスクも下げます。さらに気が付かない機会損失が発生するリスクを下げることも可能になります。

    一度、アカウントの除外リストをひらいて直近3か月でCVが出ているクエリと突合してみてはいかがでしょうか。巻き添えで止めてしまっているクエリが1件でも見つかれば、この記事で書いたプロセスを導入してみてください。

    判断基準に迷うことがあれば、お気軽にSGPにご相談ください。

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